暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリスの感想
暗号技術入門の感想と主に学べることを書いていきます。
主に学べること
- 暗号とセキュリティの常識
- 歴史上の暗号
- 対象暗号(共通鍵暗号)
- ブロック暗号のモード
- 公開鍵暗号
- ハイブリッド暗号システム
- 一方向ハッシュ関数
- メッセージ認証コード
- デジタル署名
- 証明書
- 鍵
- 乱数
- PGP
- SSL/TLS
- ビットコイン
- 量子暗号、量子コンピュータ
※ビットコイン、量子暗号、量子コンピュータについては、第15章「暗号技術と現実社会」で数ページだけ解説されている程度です。
感想
セキュリティに興味があったのと「秘密の国のアリス」という言葉に惹かれて読んでみました。
最初は「お堅い本かなぁ」と思っていましたが、いざ読んでみると予備知識なしでもスラスラと読み進めることができました。
内容としては、図解を用いて、様々な暗号技術の役割と意味を解説している本です。
暗号技術を語るのに数学は欠かせないものですが、この本では数学の話を極力なしにして、誰でも読めるようになっています。
対象読者は
-
暗号全般に興味がある人
-
公開鍵暗号やデジタル署名など、暗号技術の仕組みを理解したいと思っている人
- セキュリティに興味がある人
となっていますが、私が読んでみた感じだと、ジャンルを問わず本が好きな人でも楽しめる内容になっていると思います。
個人的におもしろいなぁと思った章は「第2章 歴史上の暗号」でした。
この章では、紀元前のローマで使われていた「シーザー暗号」や第二次世界大戦中にドイツが使っていた「エニグマ」を解説しています。
歴史上重要な役割を果たしてきた暗号の使い方や弱点、解読方法が記載されていて知識として頭に入ってきますし、読んでいて面白かったです。
特に私は「エニグマ」について興味を持っていたので、エニグマの構造やエニグマが見破られた理由を知ることができただけで、この本を読む価値があったと思います。
他にもRSAについて解説している章もなかなか良かったです。
RSAは1970年頃に作られましたが、現在最も使われている暗号アルゴリズムです。
この章を読む前は「長い間使われ続けているのだから、さぞかし複雑な計算式があるんだろうなぁ」と思っていましたが、読んだ後に驚愕しました。
たった1行で表されているんです!その計算式が!
それなのにRSAは、実質解読するのが不可能という、ものすごい性能を持っています。
ロマンがハンパないですね!
また他にも、昔使われていた暗号に対する様々な攻撃方法が載っていて、なかなか面白かったです。
個人的に興味深かったのは「誕生日攻撃」です。
この攻撃では「誕生日のパラドックス」というのが使われていて、知的好奇心をくすぐられました。
暗号以外にも、メッセージを「改ざん」したり、他人が「なりすまし」をするのを防ぐ「認証」や、ネット通販などで見かける「https://」のついたページで使われる「SSL/TLS」についても学べます。
450ページくらいあるので、空き時間や休日を利用してぜひ読んでみてください。